第2洋糖ビル

サラリーマン清水港 正・続 (1962年 東宝)

酒造業界大手の株式会社清水屋の本社ビルである。社長は言わずと知れた女好き 山本長五郎(森繁久彌)だ。

▲中央が清水屋本社ビルだ。社長を乗せた黒塗りの車が到着使用としている。(画像①)
▲中央が清水屋本社ビルだ。社長を乗せた黒塗りの車が到着使用としている。(画像①)
▲玄関前に到着。(画像②)
▲玄関前に到着。(画像②)
▲警備員がドアを開けに来た。(画像③)
▲警備員がドアを開けに来た。(画像③)
▲社長に続き秘書の石井(小林桂樹)が入って行く。(画像④)
▲社長に続き秘書の石井(小林桂樹)が入って行く。(画像④)
▲「清水屋」と立派なプレートもあるのでここで間違いない!(画像⑤)
▲「清水屋」と立派なプレートもあるのでここで間違いない!(画像⑤)

〔解説〕

 ここには苦労した。小伝馬町辺りの江戸通りではないかと思っていたが、全く手掛かりが無く2年程ほったらかしておいた。

 そんなある日、「ぼくの近代建築コレクション」管理人のR氏より (1年程前の事なのでかなり記憶が怪しいが)

「画像②③の中央、ビルがごちゃっとある中に兜町の東京証券取引所らしき建物が見える。また画像②と④の電柱の奥のヒマラヤ杉に覚えがある。画像④の杉の隣のビルは日本橋小網町の日清製粉ではないか」との情報をいただいた。

 早速証券取引所を探してみたが、探しきれず・・・・・ どちらかというと取引所の北に建つ日証館に見えてしまう。位置的には絶対見えないはずなんだが・・・・・

 

昭和43年の住宅地図で見るとこんな位置関係になる。

▲昭和43年住宅地図(画像⑥)
▲昭和43年住宅地図(画像⑥)

日清製粉本社 ヒマラヤ杉 日証館ビル 東京証券取引所

撮影当時は首都高が無く見晴らしもかなり良いとしても、この位置関係では日証館ビルはどう首を振っても見えない。 では日清製粉の向かいにあるビルというと画像⑥の住宅地図より名糖ビルというのが確認できる。ここだろうか???

 

ではも一つ、日清製粉のビルとはどんなんだろう?

これもR氏より情報を頂いた清水建設二百年作品集に掲載されていた。

▲日清製粉本社ビル(画像⑦)
▲日清製粉本社ビル(画像⑦)

 1階の窓上部にあるアーチ形状及び2階の窓の形状が画像④の小林桂樹の後に確認できる。全く同じと考えてよいだろう。

 

現状をGoogleのストリートビューで見るとこんな感じになる。

 電柱後方の右隣より低い建物が日清製粉の本社だ。正面の意匠などかなりリニューアルしたようだが、2階の左の窓に当時の面影を見つけることができる。これは右隣のビルを新築した際、同じ意匠に統一したものと考えられる。また屋上部分は1階分増築したようにも見える。

▲清水屋入口付近より南方向SV(画像⑧)
▲清水屋入口付近より南方向SV(画像⑧)

 正面に紅葉したヒマラヤ杉が見える(ヒマラヤ杉って紅葉するの?)。右に見える電柱は画像②と④で「みのや質店」の看板のある電柱と殆ど同位置と思われる。尚、今回もロケ地特定の定石どおりこの「みのや質店」から探し始めたが、全く手掛かりは無かった。

 

最後にもう1点画像を

▲名糖ビル別館(画像⑨)
▲名糖ビル別館(画像⑨)

 名糖株式会社の本社がある名糖ビル別館(何故か別館)である。画像①の右側のビルになる。 当時に比べ全く味気ない外観になってしまったが、1階窓下のガラスブロックの部分、左端階段部分の小窓など、当時の面影が残っているのはうれしい限りだ。

 

 今回はかなり長くなってしまったが、株式会社清水屋本社ビルは第2洋糖ビル(当時の名糖ビル)と特定する。

 

 長々とお付き合い頂き誠にありがとうございました<(_ _)>

 

〔このシーンの出演者〕

 ・森繁久彌 ・小林桂樹 ・沢村いき雄

 

〔ロケ地情報〕

名称:第2洋糖ビル

住所:東京都中央区日本橋小網町18-20 

交通:東京メトロ日比谷線人形町駅下車 徒歩10分

 

〔協力〕

 ・ぼくの近代建築コレクション 管理人R様