万安楼
秋立ちぬ(1960年 東宝)
秀男が新富橋の上で感傷に浸ってる頃、順子と母親は関西から上京した父に会うため、近所の旅館 万安楼に来た。
万安楼に到着した順子と母親。P01
久しぶりに会う父に駆け寄る順子。P02
と、縁側には本妻との子供たちもいた。P03
本妻の子供たちにおべっか使う順子の母。P04
ふてくされてる本妻の子供たち。P05
こういう場面では大人は必ず「仲良く遊びなさい」なんていうが、子供(特に本妻の)にとってはたまらない場面だ。特に年頃になれば余計にだ。この辺り成瀬監督はうまく演出してると思える。
さてここまでの室内のシーンはセットのような気がする。特に上の画像P05で子供たちの向こうの庭の雰囲気がしっくりこないからだ。だがこれ以降の庭でのシーン、その立派さから万安楼の庭での撮影で間違いないだろう。
本妻の子供たちの後を追い庭に出た順子。P06
橋の上で魚を見る本妻の子供たち。P07
溶け込めない雰囲気に立ち止る順子。P08
〔解説〕
万安楼(まんやすろう)は明治期の創建された割烹料亭だ。作品では関西から上京した順子の父の宿泊先という設定なので、宿泊もできたと考えられる。以下の画像からも庭、建物ともに当時の最先端であったことがうかがえる。
万安楼入口か? P09
庭その① P10
縁側と庭 P11
庭その② P12
上記4枚いずれも中央区立郷土天文館蔵
現在この場所には「銀座タワー」という高層マンションが建っている。竣工が2003年8月なので、2000年頃には取り壊されたと思われる。
万安楼の頃に比べ趣が一変してしまったが、現状を撮影したので公開する。
西南方向より撮影。P13
北西方向より撮影。P14
住宅地図で見る万安楼。MAP01
10年という間があるが、どちらも敷地内にしっかり「池」まで描いているのが興味深い。
尚、取り壊し間近の万安楼の画像については
『ぼくの近代建築コレクション』様のページにて公開されているので、ぜひご覧いただきたい。周囲をめぐる高い黒塀が圧巻である。
〔このシーンの出演者〕
・一木双葉 ・藤間紫 ・河津清三郎 ・本妻の子供2人
〔ロケ地情報〕
名称:旧万安楼(現銀座タワー)
住所:東京都中央区銀座1-22-1
交通:東京メトロ有楽町線新富町駅下車2番出口より徒歩5分
現地撮影:2015.07.29